東南アジアは、母国語に加えて英語力も高いとされているのが特徴です。経済に加えて教育も発展途上とされている東南アジア6ヵ国の教育レベルは、どれくらいなのでしょうか。ここでは、移住前に知っておきたい東南アジアの教育レベルをポイントに紹介していきます。
東南アジア6ヵ国の教育レベル
経済面だけでなく、教育面に関しても発展途上となる東南アジアの教育レベルは、どのような水準なのでしょうか。各国の教育レベルについて解説していきます。
フィリピン
フィリピンの現地語はタガログ語ですが、セブ島ではセブアノ語を使用するなど、地域によって使われている言葉が異なる国です。しかし、小学校から大学まで英語教育が盛んに行われているため、街中の広告や看板には英語を使用しているだけでなく、店舗での会話は基本的に英語で行われています。そのためフィリピンでは幼い頃から英語を学ぶだけでなく、実際に使用されているため、タガログ語と同じように英語が用いられているのです。昔、アメリカの植民地であった歴史が関係していることから英語が盛んに使用されているため、フィリピンはアジア圏の中でも英語力が高いとされています。しかし、フィリピン政府の慢性的な教育予算不足により、教師や教科書、教室不足が深刻な一面もあるようです。
シンガポール
シンガポールは、ストリーミング制とバイリンガル教育が特徴です。ストリーミング制とは小・中学校卒業段階で試験が受けられ、結果によって進学コースが決まる制度となります。日本と違い、シンガポールは6歳~12歳までが義務教育期間であり、初等教育が修了する際に進学希望者が受験できるものでしたが、2024年から4年の期間を経てストリーミング制も廃止となるようです。一方のバイリンガル教育とは、母国語と英語を学ぶ教育制度のことです。シンガポールはインド系や中国系、マレー系などの多民族国家となるため、共通の言葉を必要としたことからできた制度となります。このような制度を取り入れたことで学習面の達成度が高く、QSアジア大学ランキングではシンガポール国立大学が第1位となるなど、教育レベルの高さが分かります。また様々な教育政策により、環境整備や内容についても発展している国です。
タイ
タイは教育環境に関しての選択肢が多いため、組み合わせ次第で教育レベルが向上できるのが特徴です。しかし同じタイという国でも収入や家庭環境、地域によって受けられる教育内容には差が生じます。特に日本人の場合、国外扱いになるので小学校への入学時から必要な教育費用は全て自己負担扱いになります。日本人学校であっても費用の負担はあり、入学できる選択肢としては英語とタイ語のバイリンガル幼稚園からインターナショナルスクールもあります。タイはかなりの学歴社会なので、一流大学への入学がポイントとなっています。
マレーシア
マレーシアは、日本と教育制度が異なります。マレー系、中華系、インド系の民族から国が成り立っていることが背景にあり、7歳~12歳が初等教育、13歳~17歳が中等教育ですが、中等教育期間はフォーム1~5まであります。フォーム3に試験を受け、その結果で理系か文系かを選択し、フォーム5の過程終了で卒業試験を受けて、フォーム6と呼ばれる大学予備教育を受ける流れになっています。ここで成績によって入学できる大学が決まります。公立学校では民族母国での授業が中心となるので、マレー系、中華系、インド系で学校が異なり、さらにどの学校でもマレー語を必須科目として学んでいます。私立学校は、インターナショナルスクール、宗教学校、ローカルなどに分かれ、英語教育を中心としている所が多いのが特徴です。多民族国家であることから共通語として英語が用いられる機会が多く、英語の教育水準も高めです。
カンボジア
カンボジアは1970年代に多くの人が虐殺されてしまうという過去があり、最貧国ながらも急激に発展し続けている国です。学校、教師の不足がありながらも徐々に整備されてきていますが、教育レベルは低く、一部のトップエリートのみが高校や大学へ通っているのが現状です。このような教育の格差を感じながらも、国民のスマートフォン普及率が著しく、日本よりもキャッシュレスが進んでいるという一面もあります。そんな中で、教育青少年スポーツ大臣は全ての学校にパソコンを配備することを決めるなど、教育現場でのデジタル化を推進しています。またカンボジアでは英語が話せるかどうかで働く環境が異なるため、英語が必要とされていますが、地域によっては英語教育が受けられない所も多くあります。
ベトナム
日本からも近いベトナムは公用語にベトナム語が用いられていますが、小学1年生から英語教育が実施されているため、標準的な英語レベルが維持されています。国際的な学力達成度調査では特に理数系が強く、国としても教育の発展は国の最優先政策としています。このような教科プログラムは、子どもに教育を受けさせるだけでなく、教員の学歴レベルの引き上げやオンライン授業を必須とするなど、環境の整備にも努めています。全ての生徒に対して外国語学習が受けられる環境を2025年までに整えるとしていて、今後さらに教育レベルが向上すると予想できますが、まだ都市部と地方での格差が生じているため、問題点も多いようです。
教育制度を整えることが課題となっている
東南アジアの教育レベルをみてみると、発展途上国では経済発展が優先されがちで、子どもの教育が後回しになっている状況もみえています。また、都市部と地方での格差が埋まらず、ここでの経済格差が将来を決めてしまうこともあるようです。ベトナムやマレーシアなどでは、教育に目が向けられ始めてきたため、教育移住などもスタートしていますが、まだどこでも同じ教育レベルは維持できていないため、国が制度を整えていけるかどうかが課題となるでしょう。
まとめ
東南アジアでは、多民族国家である国もあり、公用語として英語を用いることが多くあります。世界トップレベルの英語力がある所もあれば、地域によってはまともな教育が受けられないなどの問題もあります。何を学びたいか、どれくらいのレベルで学べる環境なのかを事前に知っておき、その先の目標を決めておくのがよいでしょう。
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